【超初級】Web3.0 ~今から知っておくべきメタバースとWeb3.0~ 

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はじめに

このページを開いていただけたということはWeb3.0という概念を知りたいと思っている方々であると思います。

インターネットの世界は技術が日進月歩していきます。

数年前では考えられなかったことが次々と現代社会では起こっているのです。

日本ではまだ浸透しきれていないような考え方・概念も多くありますが、世界では少しずつ、それらが当然となり、標準になりつつあるようなものまであります。

いずれ、日本にもそのような考えに基づいた仕組みというのは本格的に入ってくるでしょう。

そして、日本でもすでにこのトレンドを掴んでいる人たちがいます。

何がスタンダードになるかはまだ分かりませんが、今までと同じようには進まないということは確かなことです。

今までのインターネットの世界を振り返るとともに、現在注目されているWeb3.0という概念について理解を深めていただければ嬉しく思います。

1.Web3.0を知る前に

 Web3.0の話をする前に、それ以前のインターネットの世界がどのようなものであったかを振り返っていきます。

ここでは、Web3.0以前のインターネットの歴史について簡単に書いていますので、参考にしてください。

◆インターネット世界の歴史

 今では当然のように使用しているインターネットですが、インターネットの世界にも大きな変革がいくつかありました。

歴史区分で飛鳥時代、奈良時代などがあるように、ネットの世界にはWeb1.0(ウェブワン)、Web2.0(ウェブツー)などがありました。

今ではその先のWeb3.0(ウェブスリー)へと突入しつつあります。

◆Web1.0

 インターネットが普及し始めてから、個人が自由にホームページを作成することによって、情報を発信することができるようになりました。

インターネット時代の最初の段階と言えます。

当時のホームページはhtml形式で作成されているものであり、文章が中心で動画コンテンツや画像コンテンツは今よりもずっと少ないです。

おそらく、今の私たちが当時のホームページを見たら、物足りなさや、文字ばかりで見づらいというような印象を持ってしまうかもしれません。

情報発信も一方向であった時代になります。

◆Web1.0の課題

 自由にインターネットを通じて情報を発信することが可能になったと言っても、ホームページを作成するのは今よりもはるかにハードルが高かったのです。

高い技術力が必要でした。

一般の人が情報を手にする手段として、多くは新聞やテレビなどが主流でした。

ホームページで情報を発信することも難しかったのですが、ホームページを閲覧することも簡単ではありませんでした。

簡単にスマートフォンでネットに接続できる現代とは違い、当時、スマホはありませんし、パソコンも誰もが手を出せるものではありませんでした。

安くても十数万円はしたのです。

とても一般に普及できるようなものではありませんでした。

また、情報の発信についても一方的なものであり、情報発信者と情報を受け取る側が交流することはできなかったのです。

◆Web2.0

 インスタグラムやツイッターなどのSNSの普及によって、文字通り誰もが情報を発信し、その情報を得ることができるようになったネットの状態を指します。

現在のインターネット社会の状態はまさにこのWeb2.0であると言うことができます。

SNSだけではありません。

ホームページもWeb1.0の時代よりも簡単に制作することができ、大きな企業の特権でもなくなりました。

特別な技術が必要であった昔と比べれば、個人でもホームページやブログを簡単に持つことができるようになっています。

一方的であった情報の発信から、双方的な情報のやり取りが行われるようになったのも、Web2.0の特徴です。

◆Web2.0の課題

 個人が自由に情報を発信することはできても、影響力はやはり大企業には劣ります。

大企業中の大企業とも言える、Google、Amazon、Facebook(現在は社名をメタと変更)、Apple、Microsoftは、その頭文字をとってGAFAMと呼ばれるに至りました。

ここに挙げた企業だけではありません。

大きな企業が個人情報を集める今日では、そのプライバシー保護についても課題になっています。

広告ビジネスもほぼこれらの企業の独占状態といっても過言ではないでしょう。

それだけ影響力をもった企業に左右されてしまっているネット社会がWeb2.0でもあります。

2.Web3.0とは?

 この言葉の創始者はギャビン・ウッド氏ですが、彼はWeb3.0を端的に、中央からパワーを分散させる仕組みと言っています。

前項では、大企業の持つ影響力について触れましたが、中央の力が強ければ強いほど、周囲はそのルールに従わなくてはいけません。

AmazonにはAmazonの利用規約がありますし、Twitterやブログを運営する時にはその運営元の規約に従わなければ、アカウントの抹消措置も受けることでしょう。

しかし、一企業が個人の自由をそこまで妨害してよいものなのでしょうか。

違法な使用はなされるべきではありませんが、プラットフォームによってはその規約が少し行き過ぎているという事実もあります。

若者の間で利用されているInstagram(インスタグラム)を例にして考えてみます。

読者の方の中にも、このSNSツールを利用されている方もいることでしょう。

実際にアカウントを登録する時に利用規約がありましたが、どれだけの方が読まれたことでしょうか。

実際にインフルエンサーと呼ばれて、動画をたくさん投稿している人でさえ、利用規約を熟読された方は少ないようにも思います。

インスタグラムの利用規約では、「投稿した内容の知的財産権は投稿者にあるものの、インスタグラム社はその投稿された内容を自由に使用できる」としています。

これは、普通では考えられないようなガイドラインなのです。

インスタグラム社を批判しているのではありません。ネット社会の代表格と言えるプラットフォームを持つ企業の中央集権的な凄まじさを知ってほしいのです。

では実際に、Web3.0というものがどのようなもので、具体的にどのような仕組みを持っていて、それが注目されてきている理由の核心について迫っていきたいと思います。

◆Web3.0の基礎知識

 Web3.0の世界は暗号資産によって成立しています。

暗号資産はブロックチェーンという技術を使って運用していますので、Web3.0はブロックチェーンを基盤としていることになります。

ビットコインやイーサリアムという暗号資産は有名ですが、今日では数千種以上の暗号資産が存在しており、そこから多くのWeb3.0サービスが誕生しています。

ブロックチェーンは情報を暗号化し、そのデータを長い鎖のようにつなぎ合わせる技術です。取引履歴をブロックにしてつなぎ合わせます。

これによって、どこか一つのブロックを改ざんしようとすると、その後につながる全てのブロックを改ざんしなくては整合性が取れないことになり、不正に気が付いてしまいます。

暗号資産による取引は、このようにブロックが連結していくかのように永遠と記録され続けていくのです。

この技術によって一定の取引が進んだ後に、その取引が正しいものであるという承認をするための計算をする人がいます。

相当な技術力を持った人がそれなりの計算能力を持ったコンピューターを使って行っています。

暗号技術の一種であるハッシュ関数を計算しており、この計算に成功した人には暗号資産が報酬として配られる仕組みになります。

金を掘ることに例えられ、これはマイニングと呼ばれています。

計算に成功した人は次のブロックを生成する権利を得ます。

新しいブロックを生成し、取引が一定数行われればまた計算をして承認するという流れになります。

計算をする人たちが悪意を持ってすべての計算データを書き換えたら不正できるのではないかと思いませんでしたか。

原理的には改ざんが可能です。

偽物のブロックに次々とブロックを付け足していった場合、ブロックチェーン上には本物と偽物の二つの鎖が出来上がります。

どちらが本物かということについては、取引している暗号資産によって異なりますが、ビットコインの場合には長いものが本物になります。

偽物が本物であると認めさせるためには、この計算処理に関わっている人の半数以上を、データを改ざんしたいと考える人たちの陣営に取り入れなくてはいけません。

これを51%攻撃と呼んでいますが、原理的には可能ですが、物理的には不可能です。

これによって安全性が担保されている状態を作っています。

天才が作り出したこの仕組みによって、お互いがお互いを牽制しながら一つの大きなプラットフォームに依存しない平等な取引をすることを可能になりました。

◆Web3.0が注目されている理由

 Web3.0は非中央集権的な仕組みとして注目されています。

非中央集権というのは権力を集中させた一部の人たちがいないということです。

日本の会社でいうところの、社長がいないのと同じことです。

社員全員が平等に同じ権利を持ちます。

組織で運営していた方が、効率が良いこともありますが、間違った方向に進むこともあります。

以前にラインからの個人情報の流出が騒がれたことがありましたが、そのようなことも、ラインに個人情報を私たちが預けていたから問題が生じたのです。

個人が自分たちの責任の下で運用していれば、誰が悪いなどと責めることはできません。

少し厳しい言い方にはなりますが、自分で自分の行動に対して責任を持つことができない人はWeb3.0の世界からは歓迎されません。

しかし、各自の能力に応じて収益を上げることもできますし、横槍が入らずに新しい技術が世界に羽ばたくことも考えられます。

日本全体としては資本主義ではあるものの、日本企業の中の給与体系を見てみると、同じ役職の人は、およそ同じ給与体系になっています。

仕事の量や役割に関わらずに同じ給与が支給されているという部分は、実は資本主義ではないのです。

資本主義は資本家目線でできた言葉である以上は当然ですが、Web3.0の到来によって全員が平等に、得意な分野で活躍できる機会が訪れるのではないかとも注目されています。

3.Web3.0の具体例

 Web3.0はすでに私たちの身の回りにまで浸透しつつあるのです。

この章では、Web3.0によって実現している具体的なものを紹介していきます。

◆OpenSea(オープンシー)

 OpenSea(オープンシー)の説明をする前に、NFTというものについて簡単に理解しておきたいと思います。

NFTとは、Non-Fungible Token(ノンファンジブルトークン)の略称で、日本語では非代替性トークンと訳されます。

非代替性というのは、交換が不可能で、他との代用が効かないもののことです。

誰かの運転免許証を使って自分が車を運転することはできませんし、他の人のパスポートを使って海外旅行をすることもできません。

したがって、運転免許証やパスポートは非代替性です。

一方で、現金などは交換可能ですから、非代替性ではありません。

自分が持っている1000円札と他の人が持っている1000円札を交換しても、買い物をするときには何も困らないでしょう。

NFTとは、自分が持っているデジタル資産(画像・動画・音声など)の所有権を証明するものです。

これによって、その作品の所有物が自分に帰属するという証明ができるようになったのです。

ホームページに公開されている画像、動画などには他のサイトから転用されているものも数多くあります。

自分の作品をNFT化することによって、その所有物の権利が自分に属するということを証明できます。

そして、NFT化した作品を売買するためのプラットフォームがOpenSeaです。

楽天やAmazonで買い物をした経験がある人は多いと思いますが、そのような人たちはプラットフォームを使って買い物をした人と言えます。

プラットフォームは「駅」という意味で、人やモノが集まるというところから由来しています。

ところが、OpenSeaは、楽天やAmazonと同じプラットフォームでありながら、決定的な違いがあります。

Amazonや楽天で買い物をするときには自分のアカウントを作成したはずです。

そして、その作成のためには個人情報を入力し、万が一、利用規約に反しているような行為をしたら、アカウントの取り消しということもあり得ます。

これは、そのプラットフォームを利用する人たちが、運営側よりも立場が弱いということを意味します。

同時に、これが中央集権的な構造になっているのです。

今世の中にある多くのプラットフォームはほぼ全てこの状態になっています。

しかし、OpenSeaでは違います。

OpenSeaを利用する初心者の方からよく「アカウントの登録方法は英語で難しいですか?」という質問を受けます。

筆者が「アカウントの作成はありませんよ。」と回答すると、とても不可解な表情をされたり、「個人情報等の入力画面はどこから入るのですか?」というような別の質問をされたりします。

もちろん、個人情報の入力等もありません。

これこそがWeb3.0の本質なのです。

中央集権的でない、誰もが自由に取引をすることができるプラットフォームです。

一部の情報はプラットフォームを介さないと入手できないなどがありますから、完全に中央集権から脱却したとは言えませんが、確実に「中央」から「分散」への動きをしています。

◆Axie Infinity(アクシーインフィニティ)

 昔、「テレビゲームをよくやったことがある」あるいは、「今もテレビゲームをやっている」方は、ゲームの中だけで使えるような専用通貨に心当たりはりませんか。

これがゲームの中のものだけでなく、現実になっていたらというような考えを持った方もいるのではないでしょうか。

夢のような話かもしれませんが、すでに現実で起きています。

ゲームで稼いだお金が現実のものとなるということが起きており、これを「Play to Earn」と呼びます。

タイトルにありますアクシーインフィニティは、フィリピンで大流行となっているゲームです。

フィリピン国内では、このゲームだけで生計を立てている人や、働いているご両親よりも子どもの方がゲームで稼いでいるという現象まで見られています。

日本でも少しずつ認知度は高まっているものの、海外に比べればまだまだ低いです。

ゲームの概要としては、アクシーというモンスターを育て、戦わせることでゲーム内通貨を稼ぐことができるものです。

稼いだゲーム内通貨は暗号資産なのですが、この暗号資産は取引所を経て日本円に換金することもできます。

もちろん、相場を見て他の通貨に換金することも可能です。

したがって、ゲーム内で稼いだお金は現実のものになってくるという仕組みです。

また、自分で育てたアクシーを先ほど紹介したOpenSeaのようなプラットフォームで売買することも可能です。

強いアクシーを育てることができれば高額で取引をすることもできます。

このゲームをスタートさせるには最初にアクシーを購入する必要があります。

その費用としては10万円~30万円程度が相場になっていますが、なかなか一般の人が一度にこの金額を支払うのは難しいでしょう。

そこで、アクシーインフィニティにはレンタル機能が備えられており、誰かからアクシーを借りることによって、ゲームを始められます。

レンタル費用は特段発生しませんが、自分で稼いだゲーム内通貨の一定の割合がアクシーの本来の所有者に入る仕組みになっています。

高額な初期費用をかけずにゲームができるので、今では参入障壁も低いです。

◆PancakeSwap(パンケーキスワップ)

 パンケーキスワップはBINANCE(バイナンス:中国の最大手暗号資産取引所)のブロックチェーン上で運営されている分散型取引所です。

日本の銀行は中央集権的で、銀行口座を持っている人は銀行の安全管理を信用してお金を預けています。

分散型取引所では事情が異なります。

お金(暗号資産)のやり取りは事前に設定したプログラムに基づき自動で取引が成されます。

これをスマートコントラクトと言います。

これによって、資産のやり取りをする上で、仲介業者を挟む必要がなくなったのです。

どのようなよいことがあるのでしょうか。

一番大きな利点は取引手数料が安くなるということです。

銀行などで金銭のやり取りを行う上ではどうしても人が介在します。

人を雇えば人件費が発生しますから、これを賄うためには手数料を徴収する必要があったのです。

手数料を低く抑えることができるのは利用者にとっては大きなメリットでしょう。

パンケーキスワップでは資金を預けてくれた人に利息としてCake(ケーキ)トークンを配布しています。

これを預けることでもさらに利息を得ることができる仕組みです。

ただし、トークンを発行するだけでは、その価値は自然と下がってしまいます。

物価が高騰しているからと言って無造作に紙幣を増刷すればその価値が下がって悪循環に陥るのは目に見えているのと同じことです。

しかし、パンケーキスワップでは「バーン」というシステムを採用しており、多くのケーキトークンを発行しすぎないように、運営側がトークンの一部を使用できないように調整をしています。

この点は少し中央集権的ですが、秩序維持のためには仕方がないのでしょう。

利用するのにはアカウントもパスワードも必要ありません。

ウォレットを紐づければ、取引を簡単に行うことが可能です。

ちなみに、パンケーキスワップは、匿名で運営されております。

誰が運営しているかも分からない状態なのです。

しかしながら、年間の収益は150億円程度とも言われており、1日当たりの取引額は1500億円に上る時もあります。

誰が運営しているかも分からない仕組みを通してこれだけの金額が動いているというのは驚きです。

4.Web3.0の未来

 Web3.0が社会に浸透していくことによってどのような変革がもたらされるのでしょうか。

ここでは、グローバル化の視点、収益、NFTなどにおける所有権の証明、公平さの観点から考えています。

◆本当のグローバル化

 Web3.0では、世界の人と共通の通貨を使用した取引ができるようになります。

ビットコインやイーサリアムのような暗号資産です。

海外の人に仕事を依頼する時に相手の国の通貨でお金を支払う必要はありません。

銀行を経由する必要もありません。

各自が暗号資産を保管することができる財布(ウォレット)を持っていれば良いだけのことです。

国境を越えて、そのまま文字通りにカネ・モノが移動することができるのです。

しかも、そこに第三者の圧力がかかることはありません。

個人と個人の意思だけで取引が成立します。

これこそが本当のグローバル化です。

言葉の意思疎通のみならず、仕事での活躍の幅と選択肢も大きくなることでしょう。

インターネットを通じた仕事であれば、場所を選びません。

現代もグローバル化と叫ばれてはいますが、比類ないグローバルな世界が近い将来にやってきます。

◆桁違いの収益性

 世界で高い収益性によって富豪になっている人たちの多くが参入しているのがWeb3.0の業界です。

暗号資産に関する事業もここに含まれます。

日本では「大企業の社長がお金持ち」というイメージがあるかもしれませんが、暗号資産の開発・促進に関わる人(エンジニアの方や投資家の方を含みます。)の多くは会社組織に属していないことも知られています。

このような組織はDAO(ダオ:自律分散型組織)と呼ばれています。

分かりやすく言えばフリーランスということになります。

暗号資産業界はビットコインなどに代表されていますが、価格変動が非常に大きいのが特徴です。

株の売買やFX以上に注意する必要はあるでしょう。

ハイリスク・ハイリターンの金融商品ではありますが、類を見ない収益につながり得るものでもあります。

年間で数千億以上の収益を上げている事例も多いです。

◆データの所有権の証明

 OpenSeaの項目で書いたNFTですが、データに「所有」という概念が入り込んできます。

例えば、動画プラットフォーム(YouTubeなど)で動画をダウンロードした場合、その動画を他の人も同様にダウンロードができます。

DMMなどの動画も有料ですが同じ原理です。

しかし、データが所有されており、それが世界に一つだけのものであれば、お金を支払った人だけが、その動画を所有することができ、他の人は持つことができません。

お金と引き換えに、その動画の所有権そのものも移動します。

このように、Web3.0の発達はデータそのものの所有を証明することもできるようになるのです。

◆公平さの追求

 何度も書いていますが、現在のインターネットの情報は多くの側面で中央に情報が詰まりやすい傾向にあります。

何かを利用する時にも個人情報の登録が必要になっています。

この個人情報はどこが管理するのでしょうか。

もちろん、そのサービスを提供している運営元です。

そして、そのサービスを利用するためには様々な規約があり、その規約を守らないとサービスそのものを利用することができなくなります。

一定のルールを設ける必要はあるものの、そのルールは多くの場合、運営元に都合がいいように設定されているケースがほとんどです。

運営元の気持ち一つで私たちの権利は大きく制限されてしまいます。

これは公平とは言えません。

誰もが平等にサービス・利益を享受する権利が保障されている仕組みの実現に近づけるのは大きなメリットです。

5.Web3.0の課題

 すごく大きな革新をもたらしてくれるWeb3.0ではありますが、課題もあります。

最後に、Web3.0の課題について見ていきます。

◆参入障壁の課題

 本書で紹介しました、OpenSeaやアクシーインフィニティは参入しやすいと言いました。

本書を読んでくださっている方々からすれば、少し調べれば簡単にできるでしょう。

しかし、一般の方にとっては、面倒くさく感じることも多々ありますし、名前すら聞いたことがないという人も大勢います。

また、メタバースに代表される仮想空間に自分のアバターを登場させて仮想体験をするとなれば、性能の良いそれなりの値段がする機材が必要であることも否めません。

部分的に見れば参加しやすいものもありますが、全体的に見れば参入障壁は高いと言えます。

これはWeb3.0の課題です。

◆法整備の課題

 Web3.0には、法整備の問題が残っています。

法定通貨を扱わず、暗号資産によって多くの取引をされているために、その税金の問題も浮上します。

しかし、アメリカではすでに、法定通貨と連動している暗号資産であるUSDTの存在感も増してきており、市場規模はすでに9兆円規模にまでなります。

これを考えると、日本の出遅れは否めません。

日本の政治家には若い人の割合が少ないですから、どうしても年配の方の政治政策は数年単位のものになりやすい傾向があるそうです。

すると、Web3.0という仕組みに関心のある人や優秀な人材は、日本ではないどこか海外で参入するでしょう。

人材の流出です。

暗号資産に関する税制を強化することも人材の流出につながります。

適切な税率、適切な法整備を行うことによって優秀な人材を国内にとどめておくことができるかどうかも今後の日本経済の発展の明暗を分けていきます。

◆バグの課題

 成長の速いインターネットの世界ですが、プログラムが更新されると、その都度アップデートが必要になります。

更新されたものがよいか悪いかは別にしても、更新後のものでも不具合が生じている場合が比較的多いかもしれません。

それを修正するためにまた更新が繰り返されます。

Web3.0によって生じた問題は基本的にはすべて自己責任です。

仮にシステム上の問題によって自分が被害を被ったとしても、それさえも自己責任となる可能性が高いです。

悪意あるプログラマがーそのような設計にしていたとしても、自己責任となると、利用を控えようと考える人もいるかもしれません。

これは極端な例ですが、暗号資産の世界には「Do Your Own Research」という言葉があります。

「自分で調べる」という意味ですが、暗号資産を扱う人は、投資やツールの利用においては全て自分で調べることが基本です。

誰かが使っているから自分も使うとか、誰かに言われたから自分もやってみるというような人任せではいけません。

バグも損失の被害も全て自分の責任の下で行われるという認識が重要です。

そのように考えると、Web3.0に残されているプログラム設計上の課題は大きいです。

おわりに

 最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。

今後のインターネット世界では、まだ予想できてないことが次から次へと出てくることでしょう。

そして、新しい技術が出来上がり、それらが一般に受け入れられるようになれば、それを使いこなせない人たちは、相対的にその側面においては劣ってしまうことにもなるのです。

仕事でも日常でも、何であれ、Web3.0の概念の浸透はますます加速することになります。

今はまだあなたの周りにWeb3.0について詳しい人はいないかもしれませんが、数年後には、知らない人がいないぐらいの状態になっていることも予想されます。

携帯電話を持っている人が当たり前であった時代がありました。

しかし、少しずつにスマートフォンを持つ人の方が多くなってきたかと思えてくるときもありました。

今ではスマートフォンを持っている人しか周囲にいなくなったようにも感じています。

これと同様の変化が、インターネットの世界で今まさに起こりつつあるのです。

これからがWeb3.0本格的な幕開けです。

大きな波に乗り遅れないようにしっかりとした知識と経験をもって少しでも本書を通して追体験をしていただけたなら、幸甚です。

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